2017年12月29日金曜日

木と木とが摩擦しあうと、火が出て燃えあがり、金属と火と溶けて流れ出す。

 木と木とが摩擦しあうと、火が出て燃えあがり、金属と火とをいっしょにしておくと溶けて流れ出す。陰の気と陽の気とがその運動を乱すと、天地が変動して、ここに雷鳴がとどろき稲妻が走る。木のなかに火が生まれて、そこで槐の大木も焚けおちる。ひどい心配ごとがあると、内外両面ともに悪くなってのがれようもなく、落ちつきなく気づかいをするばかりで安らぎも得られず、心はまるで天地のあいだで宙づりになったようである。沈鬱な混乱のなかで利害の情がせめぎあうと、体内の熱は火となっていよいよ燃えさかり、人々はそのために本来の和気を焚きつくしてしまう。陰性の月はもちろん火には勝てないものでだ。こうして、崩れ落ちるようにして体内の真実の道はつき果ててしまうことになるのだ。

第26 外物編「荘子」第四編 (雑編)