2018年2月27日火曜日

飢えは日一日と増してくる。用を足すためには小さな壺がある。これが第三帝国文明なのだ。

 死刑囚の独房にて。昼夜わたしは手錠はめられており、はずされるのは食事の時間中だけだ。裸ガラスの窓越しに、冬の凍るような風が吹いてくる。独房の暖房は数時間だけ入る。一日中の室温は最高で10度である。身体は全力をつくして寒さに抵抗している。だが無駄だ。カロリーが不足し、上が腸を痛めつける。いつも飢えが腸を痛めつける。いつも飢え、いつも寒い。わら蒲団のうえに毛布一枚で、夜はもっとひどい。おまえは胎児のように縮こまって、頭に毛布をかぶり、自分の息で少しばかりの熱を得ようと努める。朝おまえが起きるしときには、凍りついている。そして少しばかりのコーヒーで暖まりたいと思うのだ。いつもお前は寒さをおぼえている。乾いたパンの皮は歯のくぼみに入る程度だ。夕食と昼食は絶対的に不足している。飢えは日一日と増してくる。おまえの用を足すためには、小さな壺がある。これが第三帝国における文明なのだ。

ルドルフ・ザイフェルト(妻へ、ブランデンブルグの獄舎、1945年1月)「若き死者たちの叫びーヨーロッパレジスタンスの手紙」(J・ピレッツ編)教養文庫