「奴隷による耕作は大なる社会においては存続することはできない。」
かくして人が互いに集まって大なる社会を構成するとき、新たにに加わる奴隷は耕作によって生じる消費に応じきれなくなる。しかして、人は家畜を用いて人間労働を補うけれども、漸次奴隷による土地耕作は不可能となる時代が来る。これ奴隷使用は家内の用務のためにのみ限られ、結局それは消滅するに至る。なぜなら、国家の文明が進むに従い、国家は戦争による捕虜を互いに返す協約を結ぶからである。かかる協約は、各国人が奴隷に陥る危険から遠ざかることに大なる利益をもつだけ、それだけ容易に締結される。
アンヌ・ロベール・ジャック・チュルゴオ「冨に関する省察」(白)