2018年2月24日土曜日

ひとはなぜ戦争をするのか - 国際連盟にもっとも大事な事柄 -

アインシュタイン
 人間を戦争というくびきか解き放つことはできるのか?
 なぜ少人数の人たちがおびただしい数の国民を動かし、彼らを自分たちの欲望の道具にすることができるのか? 戦争が起きれば一般の国民は苦しむだけなのに、なぜ彼らは少数の人間の欲望を手に貸すような真似をするのか?
   人間には本能的な欲望が潜んでいる。憎悪に駆られ、相手を絶滅させようとする欲求が?破壊への衝動は通常のときには心の奥深くに眠っています。特別な事件が起きたときだけ、表に顔を出すのです。とはいえ、この衝動を呼び覚ますのは、それほど難しくはないと思われす。多くの人が破壊への衝動にたやすく身を委ねてしまうのではないでしょうか。
フロイト
 人と人のあいだの利害の対立、これは基本的に暴力によって解決されるものです。動物たちはみなそうやって決着をつけています。だだ、人間の場合、意見の対立というものも生じます。ですから、暴力以外の新たな解決策が求められてきます。
 敵を徹底的に倒すには、どうすればよいでしょうか。暴力を使い、敵が二度と立ち向かってこられないようにすればよいのです。そう、敵を殺せばよいのです。
 破壊活動に理想の欲動やエロス敵なものへの欲望が結びつけば、当然、破壊活動を満たしやすくなります。過去の残酷な行為を見ると、理想を求めるという動機は、残虐な欲望を満たすための口実にすぎないのではないかという印象を拭い切れません。

アルベルト・アインシュタイン、ジークムント・フロイト「ひとはなぜ戦争をするのか」(講談社学術文庫) 国際連盟からの書簡 1932年