2017年11月24日金曜日

キリスト教徒たちは、インディオには猛り狂った獣と変らず、人類を破滅に追いやる人々であり、最大の敵であった。

 私は頭株の人たちや領主が四、五人そして火あぶりにされているのを目撃した。彼らは非常に大きな悲鳴をあげ、司令官を悩ませた。そのためには、安眠を妨害されていたためか、いずれにせよ、司令官は絞首刑にするよう命じた。ところが、彼らを火あぶりににしていた死刑執行人よりはるかに邪悪な警吏の望みとおり、じわじわと焼き殺した。
 私はこれまで述べたことをことごとく、また、そのほか数えきれないほど多くの出来事をつぶさに目撃した。キリスト教徒たちはまるで猛り狂った獣と変らず、人類を破滅に追いやる人々であり、人類最大の敵であった。非道でも血も涙もない人たちから逃げのびたインディオたちはみな山に篭ったり、山の奥深く逃げ込んだり、身を守った。すると、キリスト教徒たちは彼らを狩り出すために猟犬を獰猛な犬に仕込んだ。犬はインディオをひとりでも見つけると、瞬く間に彼を八つ裂きにした。また犬は豚を餌食にする時よりもはるかに嬉々として、インディオに襲いかかり、食い殺した。こうして、その獰猛な犬は甚だしい害を加え、大勢のインディオを食い殺した。
 インディオたちが数人のキリスト教徒を殺害することは稀有なことであったが、それは正当な理由と正義にもとづく行為であった。しかし、キリスト教徒たちは、それを口実にして、インディオがひとりのキリスト教徒を殺せば、その仕返しに100人のインディオを殺すべしと掟を定めた。
ラス・カサス「インディアスの破壊についての簡潔な報告」