2017年3月28日火曜日

世界平和は東西両洋の相互敬意に見出す

 世界の平和は東西両洋の相互敬意に見出さねばならない。世界を一色にする事で平和を得ようとしても無理であろう。自然が遠い歴史が違うからである。東を西に化してしまうことで、平和が来るのではない。むしろ東と西に別れていることに特別な意義を見出すべきである。もとより別れるその事が目的ではなく、別れつつも相結ばれるところがなければならぬ。二は一のためだともいえ、一は二あってますます一の意味を深めるといえよう。それ故お互いの尊敬と理解が必要である。またお互いが自らの立場に存在理由を見出さねばならない。
 東西に別れて相争うのも、東西をなくすのも共に自然ではない。一方が一方を征服したりまた従属したりしても、問題の解決はない。やはり東は東のままで、西は西のままで、互いが尊敬し合うという事でなければならない。この尊敬こそ二であって二でないものを生み出すのである。それには東は東としての意義を、西は西のままに西に終わらないものを現すのである。今日の日本のように、過剰な西洋崇拝は、決して日本を幸福なものにしない。まして確実なものにしない。その事はやがて西洋にとっても世界にとっても不幸だといえよう。
柳 宗悦「妙好人論集ー寿岳文章編」