2017年8月2日水曜日

人間の霊魂はどうしてもことごとく不死でなければならない。

第72章 人間の霊魂はことごとく不死であること
 しかしもし人間の霊魂が可死的であるとすれば、最高の本質を愛する霊魂が永遠に至福であることも、それを蔑む霊魂が不幸であることも、必然ではなくなるであろう。それ故に。人間の霊魂は、それを愛するために創造されたそのものを、愛するにせよ、蔑むにせよ、どうしても不死でなければならない。けれども、例えば子供の霊魂がそうであると見られるように、もし、それを愛しもしなければ蔑みもしないと判断されるような、ある理性的な霊魂も存在するとするならば、そういう霊魂についてはわれわれは如何なる見解をもつべきであろうか。そういう霊魂は可死的であろうか。疑う余地がない。だから、ある霊魂の不死であることが明白である以上、すべての人間の霊魂が不死であることも、必然でなければならない。
聖アンセルムス「モノロギオン」