2017年10月11日水曜日

代表者は弁護士として出てはいけない。自己の見解をも偏見なき裁判官として判決をする義務がある。

 道なき道に立つ者にとって最大の危機と誘惑とは、自己の說明の仕方に問題はないということを余りにも大きく確信することである。その說明の仕方そのものは正しいが、その者にとってそれが適合しない場合に用いられているかもしれない。ともかく、応急の說明を工夫して、これによって見かけは巧みに自身を救い出すことに成功することはできる。しかし代表者は弁護士として出てはいけない。自己の見解をも偏見なき裁判官として判決をする義務がある。事実という岸壁にぶつかるときは、無理を通すべきではない。後ろへ戻って他所に出口を求むべきである。自己の認識まは他人の正当な異論に強いられて、自分の好きになった解釈を求めようと決心した者は、火の試練に堪えたのである。後になってから、自分の途上の障害と見えたものは、実は自分を新しい小径へ連れて行き、この小径は自分を先に導きもし、自分に広い見透しを与えてくれたものであるということが、ますます明らかになるであろう。
カールレ・クローン (結語)「民俗学方法論」