2017年10月31日火曜日

形式的に等価な函数は函数として違っていても、同じ集合を定義するものと考えなければならない。

 もし集合を命題函数と同じものであるとみなすならば、完全な理論に近づくことができる。すべての集合はそれの要素に対して真となり、それ以外のものに対して偽となるような一つの命題関数で定義される。しかし集合がある一つの命題関数で定義されるならば、それはまたその函数が真であるとき真で、偽であるとき偽となるような他の命題函数でも定義される。従って集合をそのような命題函数の中の特別な一つと ー他のものをさしおいてー 同一視することはできない。そして一つの命題函数が与えられたとき、それが真であるとき真となり、偽であるとき偽となるような命題函数はたくさんある。そのように二つの命題函数を互いに形式的に等価であるという。二つの命題が共に真であるかともに偽であるとき、その二つ命題は等価であるといい、二つの命題函数がすべての値に対して常に等価であるとき、この二つを形式的に等価であるという。与えられた函数に形式的に等価な他の函数があるということは、集合と命題函数とを同一視することのできない理由である。二つの違った集合が全く同じ要素を持つということは望ましくないことであるから、形式的に等価な函数は函数として違っていても、同じ集合を定義するものと考えなければならないからである。

バートランド・ラッセル (第17章 集合)「数理哲学説」