2017年10月8日日曜日

省察ほど容易に君を他人の嗜欲や奸計から防護するものも他にはない。

 人間が人間に贈りうるもののうちで最も心おきない贈物は、人間が心情の奥底で自分自身に語ったものをおいて他にない。それはあらゆる神秘のうちの最も神秘なものを、自由な本質を洞察するあの広い無垢な眼を与えてくれるからである。また、これ以上に信頼のおける贈物は他にない。その訳は、親しい友人を純粋に直感することから生じるあの歓びが生涯を通じて君に付きまとい、また内的な真理が君の愛をしっかり捉えて、君をしばしば進んで省察へと立ち帰らせるようにするからである。更に、これほど容易に君を他人の嗜欲や奸計から防護するものも他にはない。そこには不当なものを誘い寄せたり、劣悪な目的に濫用されたりしそうな誘惑的な附属物はないからである。

フリードリヒ・シュライエルマッハー (献辞)「独白録」