2016年7月30日土曜日

竹やり事件「勝利か滅亡か」

「国家家存亡の岐路に立つ事態が、開戦以来二年ニケ月、緒戦の赫々たるわが進行に対する敵の盛り返しにより、勝利か滅亡かの現実とならんとしつつあるのだ。大東亜戦争は太平洋戦争であり、海洋戦である。われら最大の敵は太平洋より来寇しつつあるのだ。海洋戦の攻防は海上においけ決せられることはいうでもない。しかも太平洋の攻防の決戦は日本の本土沿岸において決せられるものではなくして、数千化海里を隔てた基地の争奪をめぐって戦われるのである。本土沿岸に敵が侵攻し来るにおいては最早万事休止である。ラウバルにせよ、ニューギニアにせよ、トラックにせよ、わが本土防衛の重大なる特火たる異議がここにある。
 敵の戦法に対してわれわれの戦法を対抗せしめねばならない。敵が飛行機で攻めに来るのに、竹やりをもっては戦い得ないのだ。問題は戦力の結果である。
 帝国の存亡を決するのは、わが海洋航空兵力の飛躍増強に対するわが戦力の結果如何にかかって存するのではないか。」

 (1944(昭和19)年2月13日毎日新聞朝刊一面の配達後に発禁処分)

   毎日新聞だけが、すべての報道機関から連戦連勝のニュースしか聞かされていない市民に対して、太平洋戦線が米国の進撃で日本が苦況にあることを知らせた。東条英機首相は激怒し廃刊を迫るも、毎日新聞側は守り通した。