2017年7月22日土曜日

目的を達成する上で助けとなる度合いに応じて、用いる必要があり、妨げとなる程度に応じて、放棄しなければならない。

 人間は創造されつつある。それは、主なる神を賛美し、敬い、仕えるため、また、それによって、自分の魂を救うためである。さらに、地上の他のものが創られつつあるのも、人間のためであり、人間が創られた目的を達成する上で、それらのものが人間を助けるためである。
 従って、人間は、それらのものが自分の目的を達成する上で助けとなる度合いに応じて、それらを用いる必要があり、妨げとなる程度に応じて、それらを放棄しなければならない。そのために、われわれは、自分の自由意志に委ねられ、禁じられていない限り、すべての被造物に対して、我々自身を不偏にする必要がある。それを具体的に言えば、われわれの方からは、病気よりも健康を、貧しさよりは富を、不名誉よりは名誉を、短命よりは長生きなどを好むことなく、ただわれわれが創られた目的へよりよく導くものだけを好み、選ぶべきである。
イグナチオ・デ・ロヨラ「霊操」