2017年7月17日月曜日

価値の世界では、絶対的な権威は存在せず、自分の個人的な神を主張して、訴え出る上級法廷はない。

 検証された法則は、すべての人間が言葉の上でも、行動の上でも従わなければならない、絶対的な権威を持つことになる。このような法則だけを取り扱っているので、科学の世界と価値の世界との間に一線を画する必要がある。価値の世界では、絶対的な権威は存在せず、個々がそれぞれ自分の個人的な神を主張しており、訴え出る上級法廷はないと考えられている。価値の世界の知恵は個人的な達成でしかなく、受け継ぐのが困難である。サートンは次のように書いている。「現代の聖人は、千年前の聖人より神々しい必要がない。私たちの時代の芸術家は、ギリシア初期の芸術家ほど偉大である必要もない。実際彼らは劣っていそうだ。そしてもちろん、私たちの科学者は昔の科学者より知性的である必要はない。しかし1つだけ確実に正確になっていくということだ。確実な知識の習得と体系化は、人間のみが行われる活動で、真に蓄積的で日々進歩するものである。」
エドウィン・ハッブル「銀河の世界」